Ryo Hasegawa, conductor

コンサート体験の革新というビジョンのもと、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各地で広く活躍中の長谷川稜は、現在チャールストン交響楽団のアシスタント・コンダクター、インディアナ州ブルーミントン交響楽団の音楽監督、そしてMuditaコーポレーションの創設者兼代表を務めている。ダイナミックな存在感、独創的なプログラミング、そして音楽家や聴衆との深い共感力で知られる長谷川は、マリン・オールソップに師事しながら国際的な評価を得てきた。多分野のコラボレーションを推進するプロジェクトも多数立ち上げている。

近年では、ドメーヌ・フォルジェ音楽祭にて、音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンの指名により、グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団との共演でカナダデビューを、チャールストン・ユースオーケストラとはカーネギーホールで歴史的なデビュー公演の成功を果たす。2023年には、アメリカで最も歴史が長いシャタクア音楽祭にてデイビッド・エフロン指揮者フェローに選ばれ当音楽祭のオーケストラと複数の共演。また、ドイツのハンブルク交響楽団およびタイのTacet(i)アンサンブルとの国際的な客演指揮デビューも果たす。これまでにアシスタント・コンダクターとして、ボルチモア交響楽団、オマハ交響楽団、オーランド・フィルハーモニック管弦楽団、アメリカ作曲家管弦楽団、サンパウロ交響楽団などのオーケストラから頻繁に招待されている。マリン・オールソップ、ステラ・チェン、エリック・ジェイコブセン、ケン・ラム、ジョセフ・ヤング、アンナ・クライン、コンラッド・タオ、The Westerlies など、著名なアーティストとも共演・アシスタントとして活躍。2017年には、マラジエクナ交響楽団(ベラルーシ)、新ギター交響楽団(ポルトガル)と共演しヨーロッパデビューを、翌年にはフェーズ・アンサンブル(オーストリア)との共演を成功させウィーンデビューを果たす。また、タイ・ニューミュージック&アートシンポジウム2021 へゲスト指揮者として出演し、合屋正虎による「篳篥のためのONOKORO 協奏曲」の世界初演を果たす。こうした世界での活躍が評価され、アメリカ ロリンズ大学から「Alumni Achievement Award 2021」を受賞。

オペラ指揮者としても実績が多く、アナポリスオペラ、ピーボディオペラの指揮者として「ヘンゼルとグレーテル」を手掛け、シャタクアコンサーバトリーオペラでは助手指揮者として、プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」、「修道女アンジェリカ」他の作品を手掛けてきた。

日本人作曲家による作品や日本の地域の民謡を頻繁に他国で公演し、母国の音楽を世界に広める活動を広く行う。伊福部昭による「弦楽のための日本組曲」、藤倉大による「遠く近い、ふるさと」の米国初演の成功、また武満徹による「ノーベンバー・ステップ」を題材にした音楽知覚認知学の研究が評価され、2021年にピーボディ音楽大学から「多文化主義ピーボディ・ジョージー賞」を受賞。2022年には、ジョンズホプキンズ大学で「インターアジア文化エキスポ」を設立。芸術監督として3シーズンにわたり主催し、音楽とアートを通じてボルティモアのアジアコミュニティの結束に力を注ぐ。 

2019年のチャールストン交響楽団とのアメリカデビュー以来、長谷川は次世代の音楽家を鼓舞し、チャールストンの活気ある音楽教育プログラムに全国的な注目を集める。また、当楽団初のファミリーコンサートを企画・指揮し、あらゆる年齢層の観客を惹きつける手腕が高く評価される。「ヤング・ピープルズ・コンサート」や「サンセット・セレナーデ」など、地域社会との交流を深める公演にも数多く携わってきた。長谷川の熱心な音楽教育への取り組みは、世界中の若い音楽家から広く支持されている。ケニアのロンガイ市にあるヴァネッサグラント女子学校にて、ボランティア講師として音楽プログラムの発展に努めたほか、2022-2023シーズンには ボルティモアユースオーケストラ、ピーボディユースオーケストラの助手指揮者に就任、さらにはアメリカ サウスカロライナ州チャールストン音楽アカデミーでピアノと音楽理論の教員を務め、すべての子供が音楽へ平等にアクセスできることの重要性を認識する。

音楽と芸術の多様性とアクセシビリティの向上を目指し、長谷川は日本において音楽・芸術教育を推進する非営利団体「Mudita Japan」を設立。さらにその成功を受け、アメリカ・フロリダ州オーランドにて「Mudita America」を創設。ジャンルや文化を超えたコラボレーションを掲げ、アーティストとコミュニティの関係性を再構築することを目的としたマルチ・アーティスト・コレクティブを展開する。革新的なリーダーシップのもと、Muditaは国内外で成長を続ける。

1997年神奈川で生まれ、2014年に渡米。かつてはセミプロのバイクレーサーとして活動し、のちに音楽の道へ復帰。ジョンズ・ホプキンス大学ピーボディ音楽院にてオーケストラ指揮の博士号(D.M.A.)および修士号(M.M.)を取得。ローリンズ大学にて音楽の学士号(B.A.)を取得。さらに、マリン・オールソップとのボルチモア交響楽団・ナショナル交響楽団指揮マスタークラス、ヤニック・ネゼ=セガンとケンショウ・ワタナベによるドメーヌ・フォルジェ音楽祭でのマスタークラス、ダリア・スタセフスカ、ジェンマ・ニュー、ルーネ・ベルグマン、ケヴィン・ジョン・エデュセイ、ジョナサン・ヘイワード、キリル・カラビッツ、メイアン・チェン、ファビアン・ガーベルらとのピーボディ・マスタークラスなど、著名な指揮者の指導を受ける。

Music is beautiful.

Music can be beautiful